物理的な試作過程におけるデジタルアーカイブの開発と実践

  • 高尾 俊介
  • 原田 克彦
  • 金箱 淳一
  • 蛭田 直
  • 赤羽 亨
  • 日本デザイン学会研究発表大会概要集 Vol. 58 (2011) pp.16-
  • 2011年07月
  • 千葉工業大学

速度を重要視されるような物理的な試作における記録は軽視されがちで、制作過程の懸念事項や変更履歴を他者と共有・参照することが困難である。 本研究では、その現状を踏まえ、チームプロジェクトにおいて行われる物理的な試作(プロトタイピング)の過程を、ソフトウェア開発におけるバージョン管理の概念を援用し、統一的な方法で撮影されたビデオと写真をデジタル・アーカイブ化することを目的とする。 また同時に、そのシステムを利用しながら、メンバー間でデータを共有して開発を行う新しいデザインプロセス手法の確立を目指す。  このデジタル・アーカイブ化を実現するために、カメラ、回転テーブルと照明を用いた試作品を360度から撮影するシステムと、撮影された動画を順次閲覧するためのソフトウェアを開発した。このシステムを実際にデザイン作業時に運用したところ、アップロードされた動画を閲覧した他メンバーからの反応を即座に次の試作に反映させるなど、プロトタイピングの迅速性を阻害することなく、複数人で試作過程を共有することが可能になった。本稿では、その詳しいシステム構成と、実際のシステム運用から得た考察について詳しく述べる。